寺を摺り足で歩く真っ白の振袖を着た女

【怖い話 第709話】寺を摺り足で歩く真っ白の振袖を着た女

参考URL
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1390926719/


962 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/07/18(金) 12:52:13.64 ID:kvt8DKQq0.net

888らへんで書き込んだものです
なぜかネタが入ってしまったので再び失礼します

いかな坊主といえど、心霊体験には縁遠い、と前回書かせていただきましたが
やはり周りの親しい僧侶に聞いても「幽霊てwwおまwww」みたいなノリが当たり前
たまーに神妙な顔で「見えないからといって存在を否定することはできない」なんて真面目な僧侶がいたりいなかったり
気心の知れた人にだけ、カマかける感じで探りをいれてみたら、ぽつぽつ「これは?」って話があったので紹介させていただきます

うちのド田舎にある寺と違い、こちらは少々発展した地域での住職さんの話(Sさんとしておきます)
檀家の数が倍、お布施の額が倍、最低でもうちの4倍は大きなお寺なんですが
Sさんは毎朝きっかり5時に起きて朝の勤行をされる方です
寺を守る住職である以上、そのご本尊に朝のお勤めをするのは当然のことなのですが
毎日法事があるでもなく、生活の大半を掃除や読書なんぞに費やすのが普通規模の住職だったりする
朝6時~8時の曖昧な時間に、格好も衣を着てたり、普段着だったり、作務衣だったりとまちまちですが
Sさんは住居から法衣室にちゃんと行って、きっちり衣を着て、それから本堂でお勤めをする
とある日、普段通りに法衣室で着替えていたら、廊下で音がするのに気がついた

廊下が畳張りの家に住んでる人ってまずいないと思うんだけど、畳に目があるのはご存知でしょうか
長方形の長い辺同士の方向(約90cm)は、滑りやすくてスルスルと移動できる
逆に短い辺同士の約180cmでは目に沿えず、摺り足で歩くとやや抵抗があって、シュルシュルと甲高い音がする
特に靴下と違って硬い足袋を履いているとなおさらだし、衣を踏んづけないように、自然摺り足になる

963 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/07/18(金) 12:53:29.17 ID:kvt8DKQq0.net

話を元に戻して、着替えの最中に廊下からそんな摺り足の音が聞こえてきたわけです
はじめは「親父かな?」と思ったそうな
Sさんは30代半ばだけど、遅く生まれた長男なので御尊父は70歳を超えてらっしゃる
住職の代も既に譲って離れで隠居暮らしをされており、朝の勤行には不定期で参加をされる
その際にいちいち衣を着ることはないそう
着物の帯を締める最中だったので廊下を覗くようなことはせず、音を聞きながら着替えを続行
庫裏の客間の方向から8畳ほど並んだ約15mの廊下を、ゆっくりゆっくりと足音が近づいてくる

もういっちょ補足で、畳って6歩で渡りきるのをご存知かな?
180cmのほうは左足から踏み出して、左右、左右、左右と歩いた後、次の畳に左足を乗せる
90cmのほうは3歩で歩いて、模様のついたフチを踏まないようにご注意を
とはいえ普段の生活でそんなに歩幅を狭くちんたら歩くような真似はしないんで、意識するのは儀式の最中くらい
どうも廊下を歩いてる主は、そういう一間六歩をきっちり守るかのようなゆっくりとした足取りで廊下を渡ってる
廊下を渡りきって突き当たりを右に曲がれば本堂へ、左に曲がってすぐのところが法衣室と、住居へ続いている
どんどん近づく音を聞きながら、今度は金属音が混じってるのに気がついた
小さな金属が触れ合う、チリ、チリン、って感じの音
足音がするたび、どうも何かが揺れて触れ合っているよう
そろそろ着替え終わるな、というタイミングで廊下の主はどうやら突き当たりに到着した
どっちに曲がるのか確かめるでもなく、自然と手を止めて息を殺した時、廊下の主が小さく「ホホ」と笑った
瞬間Sさんは鳥肌が立ってなぜか着物の裾を捲り上げたそうな
「なんで?」って聞いたら「すぐ逃げれるように決まってんだろ」って恥ずかしそうに笑ってた
Sさんって独身だし、女兄弟は嫁いで一緒に住んでない
御尊父は当然男であって、母堂は朝御飯まで起きてこないし、着物も着ない
なにより声が間違いなく若い女性だった

964 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/07/18(金) 12:53:52.60 ID:kvt8DKQq0.net

いつでも逃げれる体制で、やや中腰をキープしたSさんは法衣室の障子を押さえてでも身を守るべきか
でも和紙一枚隔てた向こうで得体の知れない女と押し問答をするのも嫌だ
むしろ堂々と出て行って正体を確かめるべきなのか、あれこれ逡巡してる間に、廊下の主が方向転換する音がした
体をひねって金属音がひときわ大きくシャリン、と鳴り、おそらく引きずった着物の裾が畳に触れてざらっと音を立てた
またゆっくり畳を6歩のペースでシュルリ、シュルリ、と歩み、時折さっきの微笑むような声でホホ、ホホ、と遠ざかっていった
俺なら間違いなくたっぷり30分は間を空けてから部屋を出るけど、Sさん気が小さいのか度胸あるのか分からんけど廊下の主を確認したそうな
音を殺して障子をあけて、抜き足で廊下の曲がり角から顔を覗かせた
ちょうど廊下の主が向こうの突き当たりに着く頃で、15m先に後姿が見えた
柄も何も入ってなくて、衣から帯まで真っ白の振袖を着た女性が、やはり摺り足で歩いている
着物の白さか、異常な光景のせいか、墨を落としたようなべったりとした黒髪が印象的だったそう
結った日本髪にごく小さなかんざしが見え、女性が動くたびにチリ、と触れ合うのが見えた
これでまぁ、頭の調子が外れてしまった住居侵入者でないだろう、と思ったそうな
衣も帯も、柄なしの真っ白な振袖なんて見たことないもの まして裾を引きずるなんて、外どうやって移動してんだよ、と
なんてなこと思いながら、向こうがどっちに曲がるかまたもや確認
左に曲がれば本堂の裏側へ 右に曲がれば両親の寝起きする離れへ
右に曲がったらさすがに後を追うべきかなぁ、と思っていたら、廊下の主はくるりと振り返り、バッチリ目が合った
目が合ったってのも妙な表現だが、女性には顔がなかったそう
なかったってのも正しくないのだろうけど、真っ黒に塗りつぶされているのか、もやがかかったように黒い黒いものだけがあった
ひときわ大きく女性が甲高く笑うと、今度は小走りに近い形でこちらに向かってくる
流石にSさんも驚いて法衣室に戻って障子を閉め、昔やってた空手の型をとった
幽霊に空手てあんた、と思ったけど 黒帯だから多分なんとかなる ううん知らないけどきっとそう
結局相手は足音もさせずぱったりと静まり、恐る恐る廊下を覗いたらだーれもいなかった

965 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/07/18(金) 13:55:26.77 ID:kvt8DKQq0.net

日課なのでちゃんと朝のお勤めもして、朝御飯の時に御尊父と顔を合わせた際に
「お前今日の朝勤行遅くなかったか?」と言われた
起きてんなら出てこんかい、と言うSさんに対して「布団の中で念仏しとんじゃい」という豪気な御尊父
「聞こえてたんなら、女の声とかしなかった?今日こんなん見たんだけど」と説明すると
「聞いてないな、振袖着た若い女なら姫様だろ、お前この寺の由来知らんの?」と仰った
Sさんの寺は当時そのあたりを治めていた殿様の娘、お姫様の菩提を弔うためにできたお寺
いくら姫でも無地の白い振袖なんか着るか?という質問に対して
「金も時間も有り余ったお隠れ遊びが庶民に理解できるか」とのこと
「もしくはあれだ、花魁だ」とも
Sさんのお寺の近くに歓楽街があって、そこは戦前は華やかな色町だった
御尊父の小さな頃にはまだ芸妓さんも在籍してて、豪華絢爛の着物をまとった女性たちをよく見たそう
御母堂の手前、それ以上は深く聞きだせず「どっちでもいいけど女の狂気ってこえーな」と呟くSさんは
2件目のキャバクラをどこにするかしきりに悩んでおられました ご馳走様です

寺



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